地田研究員の新刊『牧畜を人文学する』のご案内
本研究所の地田徹朗上席研究員(世界共生学部準教授)編著による『牧畜を人文学する』が名古屋外国語大学出版会から刊行されました。
名古屋市とウズベキスタンの首都タシケント市は、2019年12月に観光・文化交流の分野でのパートナー都市連携を結び、名古屋市は東京オリパラのウズベキスタン代表団のホスト都市となるなど連携を強めています。
ウズベキスタンというと、サマルカンドに代表されるオアシス都市のイスラーム文化や綿花栽培などの定住農耕が当然ながら注目されますが、「ウズベク」という集団は元をたどると遊牧民であり、ティムール帝国を滅ぼし、シャイバニ朝を打ち立てたことで知られています。このように、中央ユーラシアの文化の基層には牧畜の要素が多分に含まれています。モンゴル、中国西部、ブータン、ロシア北極域、トルコ、東アフリカ、本書で扱われている地域は、我が国との政治的・経済的・文化的なつながりを考える上で重要な国・地域を含んでいます。世界を知る上では、アプローチする国や地域の基層となる文化やメンタリティ、考え方のロジックを知っておく必要があることは言うまでもありません。本書をつうじて、我々にとって重要ではあれども、「ラディカルな他者」である牧畜民の文化や社会について触れてみませんか。
なお、本書は2021年5月17日の読売新聞朝刊の「読書情報」にも取り上げられ、「現代社会と異なる世界観と発想は、私たちの新しい生き方の参考になる」と紹介されました。