災害時・緊急時の外国人対応について講演

宮川公平 

(世界共生学部准教授) 

2021年5月7日,本学と連携協定を締結している岐阜県中津川市の区長会連合会総会にて「自分のまちの多文化共生~災害時・緊急時の外国人対応を例に~」と題して基調講演をする機会をいただきました。 

2021年3月、中津川市は「中津川市多文化共生推進基本方針」を策定しました。近年、同市の在留外国人の登録者数は増加をつづけ、平成31年度の時点で対人口比で全国平均とほぼ同じにまでになっています。在留外国人の内訳をみると技能実習生が50%に達しており、他地域と比べて技能実習生の割合の高さが目立っています。他方、同市の多文化共生に対する取り組みは始まったばかりで、中津川市の多くの地域では外国籍住民の比率が低く、外国籍住民を対象とした市民団体による日本語支援など生活を支援する団体も存在しないなど、受け入れについて多くの課題を抱えています。

講演ではこうした現状を踏まえ、多文化共生に関する基本的な理解につながる内容と中津川市の取り組みの現状を整理した上で、災害時などの緊急時対応に内容を限定し、在留外国人が多く集住する他地域の防災の取り組み事例を紹介しました。そこでは日本人住民と外国籍住民との間の意思疎通のために、日頃から外国籍住民を巻き込んだ形での防災訓練をすることで、国籍に関わらず協働できる内容を確認するとともに、外国籍住民だからこそできる役割を確認するなど防災コミュニティの考え方がこれまでの災害において重要であると認識されていることを紹介しました。

最後に中津川市内の集住地域における状況を伝え、今後の課題を参加者に考えていただきました。講演後のアンケートからは、外国籍住民が自治会に入ってくれない、外国人が住んでいない地域ではどんな準備をすればいいのか、など入り口の時点での課題があることを示す質問が多く寄せられました。

宮川先生